女の一生モーパッサン (1958/09)
大学書林
「可愛い娘や、世の中には女の子には念を入れて秘密にしている事があるんだよ。結婚するまでは非の打ち所のない程清らかでなくてはいけないんでね。人生の甘い秘密の上にかけられたこの帳を払うのは、夫の役目なのだ。」
寄宿舎を出たばかりの世間知らずな娘ジャンヌは、結婚した夜に父親からこう言われ、予感にも似た恐れを感じる。父の言葉と予感が当たってしまったのか、結婚後は夫に満足に愛されず、失望に苦しむ日々が続いた。更に子供が出来るやジャンヌは甘やかし、成長した出来の悪い息子は一家を破産にまで追い込む。
何故ジャンヌの人生はこんなに悲惨なものになってしまったのか?モーパッサンは答えを用意していないが、100年以上前の小説なのに現代と通じるものが多く、これが人生の本当の現実なら悲しい。フランスでの原題も『ある生涯‐ささやかな真実』だ。
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