ガリヴァー旅行記スウィフト (1980/01)
岩波書店
ジョナサン・スウィフトのガリヴァー旅行記は従来の子供向けの読み物ではない。設定やアイデアは奇想天外でファンタジックだが、内容はスウィフトの社会に対する風刺と毒で満ちている。
「天空の城ラピュタ」のモデルになった空に浮くラピュタ島では人々は皆首を横に傾げて思索にふけり、人の話を聞こうとしない民族で、またある不死の人間のいる国では、長生きは決して喜びではなく、老いて孤独に生きる事は苦痛とされていた。そしてガリヴァーが最後に行き着いた、フウイヌム国では馬が高い知能と品格を持ち、平和に国を治めていた。ガリヴァーは心から彼らを敬愛するのだが、同時に人間に対する失望と憎しみの念が沸き起こりはじめる。
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